…待ち合わせの場所にやって来た内装屋さんは
想像していたよりずっと取っつきやすい感じの人
だった。物件の中に入り、件のフワフワした下絵
を見せた。「ほうほう。」内装屋さんはそう言い、
物件の至る所を専門的な視点(と思われる)で見
て回った。

「水道…なるほど…床…トイレ…トイレは交換し
なくちゃダメだな。」
「あ、ダメですか?」
「飲食でしょ?変えた方が良いですよ?」
「なるほど。」

正直この時点でイマイチ得心がいってなかったが、
その後誰に聞いてもトイレは新品に交換した方が
良いと言われたので(含む嫁)そういうものらしい。
陶器だから磨けばキレイになるかなーと思ってた
のだが、存外傷つきやすいものなのだ。家庭とは
使用頻度が全然違うからなぁ。

「まぁこの図だったら、ココだと200万もあれば。」

と、言われ 慌てて自分が演劇などで造作には少
し心得があり、かつお金にゆとりがないことをしど
ろもどろに告げた。内装屋さんはちょっぴり面倒臭
そうな表情を垣間見せてから

「なるほど。まぁ、見積もりなんで、出すだけ出して
削ったりなんだりしましょう。」
「あ、それで!ぜひそれで!」
「じゃ、2~3日後にはざっくり見積もり出しますんで。」

そう言って内装屋さんは去っていった。そして2週間
程音信が途絶えた。キャイン!