…中を見せてもらった物件は思った以上にスケルトンだった。
床から何から。キッチンもないし。スケルトン状態だから、自分
の好きなように店を構築できる反面、居抜きのように借りた次
の日くらいにホイっと開店することはできない。
…「喫茶店を開こう!」的な本からの受け売りです。てへ。何を
隠そう本職(うっかり前職と書きそうになった。前職にならない
といいが)は芝居業を営んでいるので、造作については多少の
心得がある。しかし舞台というモノは基本本火本水を使わない
ので、水回りなどの工事などしたことがない。また、飲食店の造
作には各都道府県の保健所が独自に決めているルールが存
在する。これが昔からあるモノに時代に応じてツギハギしてるの
で一見シロートには意味不明なモノが多い。なかなかむつかし
いものである。

お金が潤沢にある訳でも無いので、出来ることはなるたけ自分
でしたいが、自分でやった方が高く付くのでは本末転倒だし結
果許可が下りませんでしたでは話にならない。話の判る餅屋に
相談して、やってもらうところと自分でやるところを上手く折り合
いを付けてなるべく安くそしてステキな仕上がりの店作りを目指
す…できるかな?安い物件とは言え、敷金も礼金も私にとって
は安くないので、そこんとこの目処がたってから契約したい。し
かしマゴマゴしてる内に他の人が借りてしまったらと思うとモン
モンとする…ウロウロ歩きながらグルグル考えていたらハタと
気付いた。BBが飲食店をすでにやってるじゃないか!

すぐさまBBに電話した。斯く斯く然々説明した。するとBBは言っ
た。

「OK、じゃあ知り合いの内装屋さんを紹介するよ。ウチもやって
もらってる。職人さんだから少しクセはあるけど、安くやってくれ
ると思うよ?」

ああ、僥倖僥倖。早速連絡し、一緒に物件を見てもらう運びと
なった。